第3章 【月島】カタオモイ
月島くんのチョコだけは持ち帰ってきた。
だから、いつもより早起きして学校に行ってみた。
運が良ければ、朝机にチョコ入れておけるかな、なんて。
「冬野さん、おはよう。なにかあった?」
「4組のいいんちょ…おはよっ!なんでもない!」
でも、上手くはいかなかった。
4組のクラス委員長は、さすが進学クラスとでも言うべきか、一番に来て教室の掃除をしていたようだった。
それからも、当然渡すタイミング何てなくて部活になってしまった。
その部活だってあっという間だった。
「よーし、そこまで!」
「オスッ!」
コーチのもとにみんなが集まる。
「頑張ってるお前らに、マネージャーからプレゼントだ。とりあえずここで締めるから、帰りに受けとれよー。」
挨拶や片付けを済ませてから、潔子先輩とチョコレートを配り始めた。
潔子先輩は、月島を避けるように配っていく。
もちろん、私も。
コーチ、日向くん、影山くん、縁下先輩、旭先輩………山口くんと、最後に月島くん。
だけど、私も潔子先輩も袋は空っぽ
「ご、ごめん、月島くんのぶん、なくなっちゃった。一個忘れてたみたい…」
その言葉を残して私は走って体育館を出ていった。