第15章 雨の降る日
気がついた時には俺は病院のベッドの上だった
「っ…!先生、如月凌くんの意識が!」
看護師が医者に伝える声が聞こえた
目の前は少しぼやけて見え、時間が経つ事に少しずつ焦点が合う
「如月凌くん。ここがどこか分かるかい?」
「びょう…いん」
医者に聞かれ答える
「もうすぐしたら君のお爺様が来られるからね」
父親は如月家と縁を切っていた身であったため、じいさんと会うのは初めてだった
「凌!」
初めてじいさんの声を聞いた
「無事だったのね…よかったわ」
その頃生きてたばあさんは俺を見るなり思い切り抱きしめる
「凌。いいか、これからお前はちゃんとした如月家の人間になる。それはお前がいつかこの如月家を継ぐということだ」
じいさんは真剣に俺の目を見て話した
「お前の父さん、母さんはもういない。だからわしがお前の親代わりになる。今までの生活と比べればかなり変わるが、お前にはそれになれてもらう必要もある」
「お父さんとお母さん…は?」
「凌ちゃん…お父さんとお母さんね、凌ちゃんのことすごく大切に思ってたの。だから崖に落ちた時、あなたのことを守ってくれたのよ」
ばあさんからの言葉に少しの間、理解ができなかった
「凌ちゃん。お父さんとお母さんのお墓に行ったら、ありがとうって伝えてあげてね。」
父さんと母さんは俺をおいて死んだ
その日から今までとは違う生活になった
家には専用のシェフもメイドもいた
礼儀作法は徹底的に叩き直され、如月家を次ぐものとしての教えを受けた
「凌。お前は教員になれ、そして我が学園で働け」
じいさんの言われた通り、俺は教員になり学園で働き始めた
それからというものの担任になろうが、体育を教えようが生徒が可愛いなんて感情はなかった
あの雨の日までは