第15章 雨の降る日
アイツを見つけた日、偶然にもあの時と同じで雨が降っていた―――
「お父さん…!お母さん…!」
俺の家は貧乏で借金があった
でも俺は父親と母親と過ごす日々が毎日幸せだった
飯はいつも質素で母親の口癖は
「贅沢させてあげられなくてごめんね」だった
でも、俺は毎日3人で食事をするだけで良かった
遊園地や公園、そんなところが行けなくても俺にとっては3人でいることが幸せだった
ある日、俺は夜中に目が覚めた
耳を澄ませると
「もうここには住めないんだ…すまん」
「それは分かってた。ほかを探しましょ」
「あてはあるんだ。せめてお前と凌は幸せでいてほしい」
「ダメよ。私ももっとパートの時間…」
2人で何かについて話していた
「いいや、凌を守ってあげてくれ。俺がもっと働いて頑張るから」
「ごめんなさい。私…もっとなにか出来たらよかった」
「いいや、お前はずっと1人で家を守ってくれてる立派な母親だ。とりあえず夜逃げをしよう」
その話は夜逃げするための話だったようだ
その数日後、俺ら家族3人は車に荷物を詰め夜逃げをした
その最中、ある道路のカーブで酔っ払った運転手が運転する車と衝突し、俺らの乗っていた車は崖から落ちてしまった
冷たい風が吹く夜、俺を最優先にかばった父親と母親は気がついた時には血まみれで気を失っていた
どれだけ俺が声をかけ用が体を揺さぶろうが反応はなかった
次第に自分も気力がなくなり寒さもあって瞼が閉じていくのがわかった
もう終わってしまったんだと思った