第7章 三角形 case4
楽しくもないのに笑う私の精神衛生的なものは、ともかくとして。
それなりの平和を保って1年。
2年に上がっても学科等の関係により、クラス替えも無く、同じメンバーばかりの教室。
下手にクラス替えがあったら、女が居るってだけで騒ぐ奴もいるだろうから有難い。
だけど、問題というものは起きるもので…。
「普通顔が、何勘違いしちゃってんの?」
とか、言う奴が現れた。
廊下で、すれ違っただけで相手に迷惑を掛けた覚えはない。
科も違う人だから、今まで交流した事もないのに、迷惑の掛けようがない。
なのに、こんな事を言われるなんて思ってもいなくて、思わず振り返る。
そこに居たのは、見上げる程に長身で、顔は爽やか系に見える男だけど。
あんな事を言った上に、人を小馬鹿にしたような笑顔を向ける奴が、爽やかだとは少しも思えない。
寧ろ、性格は極悪だろう。
でも、私は笑顔を返す。
これが出来なきゃ、裏で何を言われるか分かったもんじゃない。
言葉は何も返す気もないし、これからだって交流する気もない。
苛々して、化けの皮が剥がれたら大変な事だ。
ムカついて出そうになった舌打ちは心の中でする事にして、すぐにその人から離れた。