第5章 ※三角形 case3※
連れていかれた場所は、お好み焼き屋というにはオシャレな感じのお店。
店の名前も、横文字。
お好み焼きのメニューには、パスタと書かれているのにも驚きだ。
メニューの下の方に、わざわざ説明書きがあって。
パスタとは粉ものの事です、だって。
日常生活に必要の無い豆知識が増えた。
こんな、どうでもいい事を考えるのは、対面に座っているリエーフの顔を見ないようにする為。
私は、リエーフの瞳に囚われるのが、怖い。
そうなったら、待っているのは、秋紀との別れだから。
リエーフの責任を取るっていうのは、きっと付き合うくらいまでの意味合いで。
その先の未来を、考えていると思えない。
長く付き合って、やっぱ結婚は無理とか言われたら、それこそ年齢的に終わりだ。
プロポーズまでしてくれた男と別れてまで、リエーフの方に行くのはリスクが高い。
食事の最中も、ずっとそんな事を考えて、下ばかり向いていた。
「さくら、やっぱ俺達、会った事あるな。」
「…は?」
何の脈絡もなく言われて、意味が分からず顔を上げる。
ばっちり目が合って、微笑まれてしまった。
「…高いクツも、似合うと思うぞ。」
笑顔のまま、吐き出された台詞。
その言葉には、覚えがあった。