第5章 ※三角形 case3※
‐木葉side‐
血の気が引く音が聞こえた気がする。
さくらのキスマーク見てから、自分も浮気してきた事なんか、忘れてた。
でも、なんで今だよ?
もしかして、コイツ…。
焦っていても、なんとか働いてくれた頭が導きだした答え。
「さくら、わざとケンカして、エッチしてぇの?」
浮かんだ言葉を、そのまま吐き出す問い掛け。
図星だったみたいで、一瞬で顔を真っ赤にした。
「今回は、お前も浮気してんだからアイコだろ。これじゃ、ケンカになんねぇな?
…だから、ヤリたいなら、誘ってみ?」
こんな女らしい反応をされたら、弄ってやりたくもなる。
迷うように視線を動かしたと思ったら、下を向いて顔を隠した。
「お前から誘ってくれたら、喜んで抱いて…ぶっ!」
追い討ちを掛けようとしたら、口を手で押さえられる。
それくらいで、珍しく恥じらってるさくらを、可愛がってやるチャンスを逃す筈はない。
ペロッと舌を出して、手のひらを舐める。
ビクついて、反射的に離れていく手。
よほど驚いたのか、こっちを向いたさくらの顔が、信じられないって視線で訴えてきてる。
いつも可愛いげのない事ばかり吐いてくる唇が、声にならない音を吐き出そうとパクパク動いていた。