第5章 ※三角形 case3※
少しだけ離れた場所から、シャワーの音が聞こえる。
私が座っているのは、2人で寝ても余裕がありそうなベッド。
怒りとか、悲しみとか、悔しさとか。
色々な感情が混ざって、正常な思考は無くなって。
勢いで、あんな事を言ってしまった。
当然のようにリエーフは乗って、現在ホテルの一室にいる。
‘その為’に作られた部屋の中に居ると、自分のする事に現実味が帯びてきた。
シャワーの音が聞こえなくなる。
続いて、浴室の扉が開く音がして。
腰にタオルを巻いただけのリエーフが姿を現した。
濡れたままの髪が頬に張り付いて、とてもセクシーだ。
見とれてしまっていたけど、近付いてくる姿に我に返る。
「…あ、えっと。私もシャワー浴びて…。」
「そんなん、後でもいいッスよ。」
「でも、汗とか…。」
ここまで来ておきながら、覚悟が決めきれてなくて、少しでも先伸ばしにしようとしたけど。
「どうせ、今から運動して、汗かくだろ?」
それは許されず、肩を押されてベッドに沈められる身体。
覆い被さるように、上に乗ってきたリエーフの顔が耳元に寄せられた。
「さくら。」
名前を呼ぶ声が低くて、熱い。
もう止められないのだと理解して、受け入れる事を示すように顔を向けて、自分から唇を重ね合わせた。