第4章 ‐case2‐endnig.
信じられないのかジタバタとしている夕くん。
「そ、それって。ま、まさか!?」
吐き出されていく言葉も、要領を得ない。
このままでは、話が進まなさそうだ。
「…夕くん、私と…。」
理解して貰えるよう直接的な言葉を使おうとした。
だけど、それを遮るように顔の前に手が出される。
「ここで、女のさくらさんに言わせたら、男が廃るぜ!俺から言わせて下さいっ!」
何を言おうとしたのか気付かれていて。
どちらから言おうが、話が進むなら、関係が変わるなら、別に構わない。
聞く意思を口を閉じて示した。
「さくらさんっ!俺とお付き合いして下さいっ!お願いシァス!」
某プロポーズの番組みたいに、片手が差し出される。
声がかなり大きくて、周りから注目されていた。
だけど、恥ずかしいどころか嬉しく思えて、手を握る。
「夕くん、宜しくね。」
「あ、アザーっす!」
よほど感動しているのか、握り返された手がブンブンと振られた。
この一々大袈裟なリアクションも、本当に愛しい。
でも、流石にちょっと痛くて、もう片方の手を添えた。
手の動きは止まったけど、握られた手は離れず。
「さくらさん、このまま送らせて貰っても宜しいでしょーか!?」
手を握ったままでと示すように、力を込められる。
「このままは、歩きづらいよ。だから…これで。」
握手の状態で並んで歩くなんて無理だから、一旦は逃れて、指先を絡めて手を繋ぎ直す。
「おぅ!じゃ、帰りましょうか!」
とても、嬉しそうな顔をして頷いてくれた夕くんに手を引かれ、2人で歩き始めた。
case2‐end.‐