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【イケメン革命】お茶会をご一緒しませんか?〜短編集〜

第5章 チョコレートをおひとつどうぞ②(主人公目線)



「あー腹減ったー」

食堂の扉を開けて入って来たのは、今日ずっと会いたかった人。

「カイル!おかえりなさい!」

その顔を見た途端、思わず駆け寄って手をとる。

元々カイルは色白の方だけど、なんだか今はいつも以上に青白く見える。

「…大丈夫?」

「あー…エドガーのやつにこき使われてもうボロボロだぜー」

カイルは、ハハっと笑いながら話す。
一度私の手をぎゅっと握ると席に向かって歩き出した。

ゼロ「あいつに振り回されるとは災難だったな」
私の向かい側の席に座っていたゼロがカイルに心配そうな目を向けている。

カイルは冗談交じりに話してるけど、クタクタだよね。
今日は早めに休ませてあげたい…でも、チョコどうしよう………。

結局結論を出せないまま、私は食事を終えたカイルと一緒に部屋へ向かって歩いていた。

「…それじゃ、カイル。今日は早く休んでね」

おやすみ、と告げ、私は背を向けて自室に戻ろうとしたけれど……

「待った」

そう言ってカイルが私の手を捕まえる。

「カイル…?」
「何か俺に言いたいことあるんじゃねーの?
ずっと難しそうな顔しやがって……俺には全部お見通しだかんなー」

私のおでこを軽く指で弾くと、カイルはニヤッと笑いながら私の顔を覗き込んだ。

そんなに顔に出てたかな?!は、恥ずかしい……

顔を赤らめて戸惑っていると、カイルは握ったままだった私の手を引き自分の部屋へ誘導する。

そのままソファーに座らされると隣にカイルも腰かけた。

「で?どーした?」

さっきの少し意地悪っぽい感じとは違う、優しい笑顔で私の言葉を促してくれる。

カイルはなんだかんだ言っても結局はいつも優しいよね。
私はそんなあなたの優しさに甘えてばっかり……。

なんだか目の奥が熱くなってくる感じがして、私は慌てて大きく息を吸った。

ゆっくり吐き出した吐息に言い出せなかった言葉をのせる。

「あのね……今日、バレンタインでしょ?それで、カイルにチョコを渡したかったの。
けど、すごく疲れてるみたいでなかなか言い出せなくて……」

俯いてしまった私の頰をカイルはむにっと摘む。

「いひゃい……」

「あのなー、俺に遠慮する必要なんかねーよ。
おまえはやりたい事とか言いたい事とかもっと出してけ。
………アリスのしてくれる事はなんだって俺は嬉しいんだからな」
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