【イケメン革命】お茶会をご一緒しませんか?〜短編集〜
第3章 チョコレートをおひとつどうぞ
「あれ?鍵がかかってる…」
カイルがいつもいるはずの医務室はきっちり施錠され薄暗く、誰もいない様子だった。
「カイル…どこいったのかな…」
確か今日は往診の予定はないはずだ。
私はとりあえずカイルの部屋へ行ってみることにした。
「カイルー」
ノックをしながら呼びかけてみたが反応はない。
試しにドアノブに手をかけてみると鍵はかかっていなかった。
(…?寝てるのかな……?)
起こさないよう出来るだけ音を立てずにドアを開けて、こっそりと中に入ってみる。
「カイルー、いるのー?」
小さな声で呼びかけてみるがやはり反応はない。
ベッドは思いのほか整っており、つい先程まで寝ていたような痕跡もなかった。
(朝早くに出かけたのかな…。
昨日も遅くまで往診に行ってたのに、カイル大丈夫かな…)
これでもしもいつものように二日酔いの状態だったなら…と考えると嫌な予感しかしない。
(今日は夜一緒に過ごしたかったけど、早めに休ませてあげた方がいいかも)
そんなことを考えながらカイルの部屋をゆっくり歩いていると、ふと机の上に可愛いらしい小瓶が置いてあることに気づいた。
(可愛いデザイン…何かの薬?)
手にとってみると、小瓶と一緒に置いてあったのかメモが一枚ひらりと落ちた。
拾って見てみると、そのメモには一言『恋のエッセンス』と走り書きされていた。
(恋のエッセンス……どこかで聞いた気が…………)
「あ!!!」
(思い出した!
これって前にロキとお茶した時に聞いた『彼の心を100%掴める』って噂になってたおまじないだ!
ほんとにあったんだ……)
半信半疑でまじまじと小瓶を見つめる。
(つ、使ってみたい…!でも、勝手に使うのは悪いし……どうしよう)
小瓶の中の液体がゆらゆらと揺れる様を見つめながら、私はしばらくの間悩んでいた。