第2章 私の幸せ
☆☆~海燕side~☆☆
どうやら桜花は、虚を倒した時とその前後のことは覚えてないらしい。まぁ、幸いといえるだろうな。あいつにとって、あの場はトラウマにしかならないだろう。
さっき、急いで桜花の病室に行くと、大きくなっていた桜花が、どんどん小さくなっていっていっていた。
「おい!桜花!」
このまま桜花が死ぬんじゃないかと思って、急いで揺り起こした。すると、桜花は目を覚ました。でも、二三言話すと再び目を閉じてしまった。
「・・・・・なんなのでしょう。こんな症例は見たことがありませんね。」
卯ノ花隊長が考え込む様子で話した。
「みなさん、このことは他言無用でお願いします。桜花さんが奇怪な目を向けられては困りますし。」
卯ノ花隊長の言葉にみんな頷く。
「あの・・・・志波副隊長ですよね。先程は・・・ありがとうございました。」
ああ、さっき生き残ってた隊員か。
そいつは、俺に礼をしたあと、松葉杖をついて病室を出ていった。
「・・・・・桜花・・・・」
やちるが心配そうに桜花を見る。
「桜花は大丈夫だ。すぐに目を覚ます」
俺は自分に言い聞かせるように言った。
「・・・・やちる、帰るぞ。」
更木隊長は、懐からなにかを取り出し、台に置いて、斑目たちと共に病室を出た。
「・・・・・桜花」
俺はただ桜花の手を握ることしか出来なかった。