第12章 連れ攫われた青い花
「ねえねえギン!!これって何??」
「それはただの時計や。君んとこにもあるやろ?」
「へーじゃあこれは?」
「それはただのテーブルや。」
「へーじゃあ・・・・・・」
案内人がロカからギンに変わった後、私は先には進まず十分くらいこのやりとりを繰り返していた。
「それはただの机。そっちはただの置物や。特に意味はあらへんよ。あるとしたら、藍染隊長の趣味だけや。」
あきれ顔のギン。
「へーいい趣味してるねー。私これなんかけっこう好きだなー」
私はその置物に夢中な振りをする。
「そんなの君の趣味じゃあらへんやろ。桜花ちゃん、どうしたん君?」
「何が?」
ギンがにやにやしながら私を見つめる。そういう顔の時は、意地悪な時だ。
「藍染隊長の談話に付きおうたり、今こうして意味のないことしたりして。なんや君、志波副隊長に会いとうなかったんか?」
「・・・・・・・・そんなことない」
「ああ、そかそか。会いたくないんやのうて、会いづらいの間違いか。自分の気持ちに気づいてしもうたんやもんな。会えないと思ってた君の初めてのムグッ」
「・・・・・・うるさいし、違う!!今から行こうと思ってたの!!」
図星を付かれてしまった。本当、ギンは昔っから変なところで鋭いんだから。