• テキストサイズ

香国 ー駆ける兎の話ー

第1章 駆ける兎の話



何処までも行けそうな自由な心地に気持の良い風。

この風は私の起こす風。

香国や、知香、狼娘、沈梅に他の姉妹、兄弟、小さな落ち着く室とひんやりした回廊、朝の間、昼の間、夕の間、雨の日に学んだ座室、晴れの日に励んだ四阿、四季折々の園庭、お父様。お母様。

皆々、後ろへ流れて行く。

でも、私が皆を置いて行く訳じゃない。
皆がそれぞれの場所に駆けて行く。それだけの事。

そして、私の傍らには蜂恵。同じ場所へ駆けて行く相手。



私は兎速。



生国へ駆ける。裸足で蜂恵と。
ずっと走る。土に着くまで。土に着いても。

何があっても足は止めない。



兎は駆け続けるものだから。













/ 73ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp