第1章 初めてのバイト。
「え、有紗ちゃんどうしたの?」
店に戻るなり高嶺さんに声をかけられる。
「ちょっとこの世の終わりを見てきました…。」
「なにそれ大丈夫?てか制服似合ってるじゃん!かわいいから何着てもいけるってやつだね。」
「いや高嶺さんの方が可愛くて綺麗です。」
「またまたぁ。とりあえずタイムカード押そっか。こっち来て。」
言われるがままについて行きタイムカードの押し方などを教えてもらっていると、おはようございますと入り口から声が聞こえて来る。見るとさっきのヤンキーの人だった。
「あ、おはよー。」
「お、おはようございます。」
ヤンキーの人もこっちに来てタイムカードを押して伝票番号を記入し始める。
「あ、あの…。さっきはすみませんでした。」
もう一度謝るとヤンキーの人は笑っていいよいいよと返してくれた。
「なんかあったの?」
高嶺さんが聞いてくる。
「ケータイの画面バキバキにしちゃいました。」
え、まじ。大丈夫?と笑いながらヤンキーの人と話している。大丈夫っすと返しているヤンキーの人を見ていると高嶺さんの年下なのかなと思う。こちらの目線に高嶺さんが気づく。
「この子は高橋玲於くん。高校3年生だって。3日前に入ってきた子だから仕事では有紗ちゃんと同期だね。仲良くね〜。」
「よろしくお願いします。」
「あ、私立花有紗です!高校2年生です。今日からよろしくお願いします!」
勢いよくお辞儀すると、元気だねぇと2人に笑われた。
「じゃ、早速仕事のこと教えて行くからこっち来て。頑張ろうね。」
「よろしくお願いします!」
よかった、2人とも良い人っぽい。人間関係って大事って聞くから。きっといろんなことあると思うけど、これから頑張っていこう。