第12章 敵との遭遇
人通りが少ない廊下を歩きながら、私はため息をついた。
『話すべきじゃなかったかな…でも、隠したら隠したで後が大変だろうし…』
教室に戻るのが辛い。百だけでなく、あの三人まで気まずくなってしまったし…次の授業は確か他の委員のことを決めるための時間のはずだ。サボっても怒られないだろう。
どうやってサボろうか考えているその時、私の耳に妙な音が聞こえてきた。
_ピシッ_ミシミシッ
『_!?なに、この音…』
まるで何かが壊れるような、崩壊していくような物音。
『場所は_あっちだ!!』
私は急いで音の発信源の方へと走る。何故かとても嫌な予感がした。
その場所は校門から少し離れていて、パッと見誰も気づかないような所だった。そこに誰か一人立っている。
私は素早く携帯を取り出し気付かれないようにその人を撮った後、静かに近づいてみる。
よく見ると、彼の伸ばした手の先…掌で触れているのは雄英バリアーで、段々ひび割れているのが見える。
『(学校の防衛措置を…ましてやヒーローがいる学校のものを壊すなんて、普通じゃ考えられない…!)』
下手に刺激してはいけない。ここは相手を素早く行動不能にして捕らえるのがセオリーだろう。
私が手を伸ばし、静かに魔法を発動しようとすると_
「お待ちなさい、お嬢さん」
『!?痛っ』
突然後ろから黒い霧が流れ出したかと思うと、あっという間に手を捻(ひね)りあげられた。声的には男性だろう。後ろにいるので風貌は分からないが、直感で仲間だと判断できる。
『(油断した…もっと周りに気を配るべきだった)』
後ろに手を纏められ、身動きが出来なくなってしまった。すると、今まで雄英バリアーに手を触れていた人物が振り返る。
「!…へぇ、お前だったんだ。ちょうど良かった」
その人物は男性で、体のあちこちに掌の形をした模型?を付けていた。顔に付けられているのもあって素顔は分からず、なんとなく不気味な雰囲気を纏っている。
思わず後ろに下がってしまうが、余計に後ろにいる男に身を寄せてしまう。
「黒霧。そいつ連れていこう。役に立つし」
『な_!?』
私は驚きを隠せなかった。