第2章 目が覚めると
あの男…敵(ヴィラン)は、目の前の人だかりやヒーロー達に注意を向けていて、他の事に頭が回っていない。捕まっている少女も、すきをみれば逃げ出せる筈だが、恐怖で怯えていて動ける筈もない。
『ちょっと派手にやっちゃうか!』
私は大気中の水を操り、敵(ヴィラン)の後ろに巨大な水のオブジェを作り上げていく。
「おい、何だあれ⁉」
「あの敵(ヴィラン)の“個性”か⁉」
「いや、彼奴の“個性”は確か“炎玉(ファイヤーボール)”だった筈…」
人々がざわつく中、私はその原因の水のオブジェを竜の形に作り変えていく。
「ひ、ひぃぃ…」
敵(ヴィラン)はどうやら腰を抜かしたらしく、尻もちをついている。少女は開放されているものの、水の竜に怯えているのか、ずっと見つめたまま動かない。
『貴方はどうやら…私と相性が悪いようだね』
なんせ炎と水だ。相性は最悪である。
『水竜の裁き…受けなさい‼』