第9章 初めての実践
「恰好から入るってのも大切な事だぜ、少年少女!!」
グラウンドβに次々と生徒が集まる。
「自覚するのだ!!!!今日から自分は……ヒーローなのだと!!」
『ヒーロー…』
「良いじゃないか皆、カッコイイぜ!」
「さあ!!始めようか有精卵共!!」
『皆凄いな…』
クラスメイト達を見ると、私のデザインした服はそれに比べるとシンプルな気がする。皆の戦闘服はそれぞれ特徴的なものが多い。
特に出久君なんて、頭の触覚の様なものと口元のデザイン…オールマイト先生そっくりだ。
「分かりやすい!!」
オールマイト先生も口元を手で覆って笑いを堪(こら)えている。
「さあ!戦闘訓練のお時間だ!」
「先生!」
天哉君が手を上げる。
「ここは入試の演習場ですが、また市街地演習を行うのでしょうか!?」
そういえばこの場所には見覚えがあった…入試の時に一度来ていたからだったんだ。
「いいや!もう二歩先に踏み込む!」
「敵(ヴィラン)退治は主に屋外で見られるが、統計で言えば屋内の方が凶悪敵出現率は高いんだ」
「真の賢い敵は屋内(やみ)にひそむ!!」
確かに、私が初めて会った敵は元々ヒーローだった。
最初はヒーローとして真面目に活躍していたけど、だんだん廃(すた)れていってしまったんだよね…。
遂には敵に情報を流してヒーローを始末してもらい、再び自分に目が向くようにしていたらしい。
『悲しいけど、それが現実なんだよね…』
私が感傷に浸っている間にも、オールマイト先生の説明は続く。
「君らにはこれから「敵組」と「ヒーロー組」に分かれて二対二の屋内戦を行ってもらう!!」
「基礎訓練も無しに?」
梅雨ちゃんが質問する。
「その基礎を知る為の実践さ!!」
「いいかい!?状況設定は「敵」がアジトの何処かに「核兵器」を隠していて、「ヒーロー」はそれを処理しようとしている!」
「核兵器」なんて物騒な物、どうやって用意したんだろうか。その敵は。
「ヒーロー」は時間内に「敵」を捕まえるか「核兵器」を回収する事。
「敵」は制限時間まで「核兵器」を守るか「ヒーロー」を捕まえる事。
うん。設定が米国っぽいね。
「設定アメリカンだなー!!」
出久君も同じ事思ってるみたい。