第7章 個性把握テスト
『そっか…もうそんなに経つんだね』
「はい、私も懐かしく思います。あの日の事は、今でも昨日の事の様に覚えております」
二人で食事をしながら語り合う。シェフが用意してくれた料理はどれも美味しくて、いつも食べ過ぎてしまわないか気にしてしまう。流石は八百万家に仕える人と言った所か。
『あの日、百に会わなかったら…そう考えると、今の私はいないのかもね』
もしあの日、あの場に敵(ヴィラン)が居なかったら?捕まっていたのが百じゃなかったら?…その時、私は何をしたのだろう。
「でも私…あの日、敵に拐われて良かったのかもしれません」
『え!?急に何言い出すの、百!』
ヒーロー志願の人が言う事じゃないよ!!
「私が囚われたからこそ…今の私達があるかのように思えるんです。暁お姉様が助けに来て下さった事…まるで“運命”の様に感じるんです」
『“運命”…か』
確かに、百の例えは的を得ている気がする。マスターメイビスに導かれてこの世界に来たが…いや、“運命”に導かれたのか。
『…十年』
「?」
ふとぽつりと呟く。百は不思議そうに首を傾げた。
『(初代が予言していた時が来た…)』
私がこの世界に来た時、マスターメイビスは言った。
_《この世界は十年後、大きな【悪】【闇】に覆われる事でしょう》_
それ等からこの世界を守る為に、私は来た。
「暁お姉様…?」
余程難しい顔をしていたのだろう。百は不安そうに私を見る。
『…何でもないよ』
…【真実】を話すには、まだ少し早いだろうか。いや、言ったところで、それからどうする?
_もし拒絶されたら_
『(私は…)』
“今”を失う事が、怖い。
『今日は本当にありがとう。百のおかげで、今の私があると思ってる。この気持ちは、今でもずっと変わらないよ』
「私だって、一緒ですわ。暁お姉様を思う気持ちは、ずっと変わりません」
【真実】を知っても、この子は、皆は__
_私を、受け入れてくれるのだろうか。