第7章 個性把握テスト
更衣室に行って着替えた私達は、グラウンドへ向かっていた。こういう事は初めてだし…百に聞いてみようかな。
『“個性把握テスト”って、どんな事するのかな?』
「基本的には中学の時にやった体力テストと同じだと思われます。けれどここでは“個性”を使えるので、自分の力をどう生かすかが鍵ですね」
体力テストの“個性”ありバージョンか…力の加減にさえ気を付ければどうなかなりそうだ。
『それなら百は大丈夫じゃない?なんたって【創造】だし。一位狙えるかも』
「そ、そんな…私なんて暁お姉様に比べればまだまだですわ」
そう言って慌てて否定する百。そんなに謙遜しなくてもいいのに。
彼女の“個性”は【創造】。生き物以外の物ならなんだって作れるという、順応性や応用性がある個性だ。
グラウンドについてからも喋り続けていると、続々と生徒が集まってきた。
「よし、全員揃ったな」
相澤先生がテストについて説明してくれたが、百が言ったとおり自分の“個性”を使いこなさないと、良い結果は出ないようだ。
「実技入試一位は爆豪だったな…これ投げてみろ。個性ありで、思いっきりな」
『(さっき飯田君と揉めてた子だ)』
「んじゃまぁ…」
「(球威に爆風をのせる__‼)死ねぇ!!!」
「………死ね?」
『…(その単語はヒーローになる身としてどうかと思うけど…)』
けれど凄い“個性”だ。掌を爆発させ、その爆風にのせて球を投げた。爆風の起動に球をのせるなど、余程のコントロール力がなければ出来ない芸当だ。
「まず自分の「最大限」を知る。それがヒーローの素地を知る合理的手段」
「何これ‼面白そう!」
全身ピンク色の黒目の女の子が爆弾発言をかます。
あーあ…そんな事言ったら…
「……面白そう…か。ヒーローになる為の三年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?」
「よし、なら八種目トータルで成績最下位の者は見込み無しと判断し…除籍処分にしよう」
生徒全員が一斉にどよめく。
「生徒の如何は先生(おれたち)の自由…ようこそ。これが雄英高校ヒーロー科だ」
髪をかき上げ言い放つ相澤先生。
その言葉に笑う者、怯える者、意気込む者…反応は其々(それぞれ)だった。