第6章 雄英高校入学
『試験の時にも思ったけど、雄英って大きいよね』
「そうですわね…ですが私有地の広さなら、八百万家も負けませんわ!」
私と百は今、雄英高校の門の前に立っている。入学試験を受けて無事合格した私達は、真新しい制服を着て登校してきた所だ。
百は推薦入試で私は一般入試だ。百は何故私に推薦状がこなかったのかと訝(いぶか)しんでいたのは記憶に新しい。
「本当に謎ですわ…何故暁お姉様に推薦がこなかったのでしょう。素晴らしい個性なのに、納得がいきませんわ」
『学校側の方針とかじゃない?百の方が応用性とか高いし、優秀だと判断されたんじゃないかなぁ』
「暁お姉様にそのようなお言葉を頂けるなんて…私、とても誇らしく思います」
そんな事を話しながら、パスを受けて学校に入っていく。教室には既に何人かが席についていたり、固まって喋っていた。
『おはよう!』
まずは挨拶だよね。気さくな感じでしてみると、所々にいた人が一斉に振り返り、挨拶を返してくれた。
すると、眼鏡をかけた男子がこちらに歩いてきた。
「おはよう!ボ…俺は飯田天哉だ。実は中々挨拶を返してくれる人がいなくて弱気になっていたんだが…君は凄いな」
『いきなり声をかけられたから驚いたんじゃない?皆やっぱり初対面の人とは緊張するし、もっと気さくに声をかけてみたら?』
「なる程!確かに初対面で大声はびっくりするな…ありがとう!」
『どういたしまして』
ふと黒板を見ると、席順が書かれていた。
『百はそこの列の一番後ろだね。私はその後ろだから、いつでも喋れるね』
「えっ、この距離で見えたんですか⁉暁お姉様の視力は凄いですね」
『ふふ、ありがとう』
本当は滅竜魔導士だから動体視力が優れてるってだけなんだけどね。
席に行くと百の隣の席には特徴的な髪色の子が座っていた。
『(半分赤で半分白って珍しいな…個性の影響かな?)おはよう!』
「!…ああ」
声をかけると間を開けてではあるが返してくれた。悪い人ではないのだろう。
「暁お姉様!」
『はーい、どうしたのー?』
百に呼ばれて彼に背を向けると、後ろから戸惑ったような声が聞こえた。
振り返ると、彼は少し口ごもった後、自己紹介をしてくれた。
「…轟、焦凍だ」
『!…八雲暁だよ』