第19章 うなれ体育祭!!
そこへ他の生徒達がちらほらと追い付いてきた。そして目の前にいるロボ・インフェルノ達を見て驚愕する。
「入試ん時の0P敵(ヴィラン)じゃねえか!!!」
「多すぎて通れねえ!!」
さて、どう対処しようか。2週間も魔力を溜め込んでいるとはいえ、バンバン使う程、私は能無しでは無い。
「…でけーだけで何の張り合いも無えな。行くぞ、暁!!」
『え_わわっ』
いきなり俵担ぎにされると、身体が上空に上がった。どうやら愛龍が抱えて飛んでくれたらしい。
あっという間にロボの真上を通り抜けていく。
顔を上げれば轟君が0P敵を一瞬で凍らせていた。中々の早業である。
その足元の隙間を轟君が通り抜けていけば、周りの生徒も真似して通ろうとする。
『あのロボの体勢…あれじゃ直ぐに倒れる!』
私が言った傍から崩壊した0P敵。大半の生徒はあれに押しつぶされてしまった。
「轟(あいつ)の狙い通りだな。敵を対処すると同時に、相手の妨害ってか。俺らがさっきやった事とほぼ同じだ」
真似された、と不満気な愛龍。人の事を真似するのは好きなのに、されるのは嫌いなんだよね。
少し心配だったけど、元気な“声”が二人聴こえた。これは鋭児郎君と…誰だろう。同じような雰囲気がする。
「もう二人で一番になるか?コースそれなけりゃ何でもありなんだろ、これ」
『それも良いかも_!?愛龍、後ろから来る!』
「っ!!」
ロボ・インフェルノの上を通り、更にこちらへと向かい上がってくる少年がいた。爆豪勝己である。
「おいクソ猫野郎!!暁に触ってんじゃねえ!!」
「(ボソッ)独占欲が強いねえ…暁、先行け」
『了解。ウォーターメイク…竜(ドラゴン)!』
両手を合わせて魔力を込めながら竜を頭の中に思い浮かべる。すると目の前に水で出来た竜が現れた。
2、3人程乗れそうなそれに飛び乗り、二人を置いて進んでいく。
『(二人共、喧嘩しなければ良いんだけど…愛龍のあんな顔、初めて見た)』
先程チラリと見えた愛龍の横顔は、怒りと嘲りが交じったような表情をしていたのだ。
対する爆豪の顔も、完全に怒り顔だった。
『(USJの事、まだ許せてないのかな)』
けど、私は知らなかった。二人がこの事と全く別の件で揉めている事に。