第18章 水竜の娘の過去と始まり
FAIRYTAILが存在するイシュガル大陸より極東の果て…和華(わか)の国に“蓬莱(ほうらい)”と呼ばれる王族がいた。
蓬莱は決して巨大な魔力や協力な魔法を所持している訳ではなく、王族としての権力も世界では余りにも低過ぎていた。
しかしその人望や心の在り方は次第に周りに認められ、いつしか人々が寄り添い、支え合いながら暮らす平和な国へと発展した。また、フィオーレと同じく永世中立国であった。
そして様々な国々と交流が進み何百年もの歴史がたった頃、蓬莱は一人の異質な女の子を授かった。
この少女…暁は育てば育つ程、これまでの蓬莱の人々と違った外見や特徴を目覚めさせた。
夜闇に一際映えて目立つ白銀の髪。
慈愛の光を持つ瑠璃色の眼。
まるで白瑪瑙(しろめのう)のようにきめ細かな肌。
とても綺麗な子供であったが、和華の国の人々にとってそれは逆に畏怖を感じさせた。
彼女の両親は片や黒髪茶眼、茶髪茶眼の極一般の東洋人だというのに。
両親は「自分の子だから」と彼女を愛し王族として育てていたが、周りの目は冷たかった。
そんな中、一人の西洋人が遥々(はるばる)姫の警護にやって来た。
その男の名はコブラ。後に六魔将軍の一人と判明する闇ギルドの魔道士だった。
しかしそんな事はいざ知らず。蓬莱を始め和華の国は、彼を“西洋から派遣された手練の青年”としか思わなかった。
それは姫である暁も同じだった。
少女と青年は次第に仲良くなり、いつしかお忍びで街や外れに出掛ける仲になった。
それが彼の狙いだったとは知らずに…。