第17章 真実を話す時
「え?暁達の親ってドラゴンじゃねぇの?」
「ああ。だがそれは育ての親であり、本当の親じゃねえ」
切島君の疑問を難なく解決する轟君。
『別に話してもいいけど…でも、なんで…?』
「………別に、気になっただけだ」
『……そう、分かった』
彼から時々嫌な“声”が聞こえていたが…轟君は、親に…父親に憎しみや嫌悪感を抱いているようだ。
_“左は使わない”
_“親父を完全否定する”
…正直、とても禍々しい“声”だった。
多分、彼はこう言いたいのだろう。
_“実の親でもない、しかもドラゴンなんて異形の生き物に、無理矢理“力”を受け継がされたと思わないのか”
_“…それとも、実の親が尊敬の年も抱かない人だったのか”
これらの言葉を端折った結果、今のような質問になったのかもしれない。
実の親…か。
「…先に答えとくが、オレの親は勿論エクシードだぜ。親父がエクスタリアの女王の護衛で、母親は侍女だったな」
「王国関係の方達だったのね」
「って事はお父さんイケメン!?」
「…顔は猫だけどな。オレが完全に人間に化けれるのは“この世界”にいるからだ。…まあ、見た目が父親寄りで、目元は母親寄りらしい。性格は知らねーけど」
二人とも真面目ないい猫(ひと)達だった、と続ける愛龍。どうやら考える時間をくれたようだ。…全く、頭の働く猫(あいぼう)だこと。
『…じゃあ次は私だね。少し長くなるけど、大丈夫?』
『_私の親は東洋の国の王族で、私はその娘だったの』
この発言の後、クラス中が驚きと戸惑いの声に包まれた事は言うまでもない。