第17章 真実を話す時
お昼休みが終わり5時間目がやってくる。自分の席に着こうとし、ふと隣を見ればいつの間にか愛龍が帰って来ていた。
…私を守る気があるのやら無いのやら。
次の時間…相澤先生の授業だ。しかし教卓についた彼の手荷物は何も無い。自習の時間になったのかな。
「授業をはじめる…と言いたい所だが、この時間は別の事に使わせてもらう」
「「…?」」
相澤先生がふと言葉を切り私達を見つめる。
…え、ここで言うんですか。
『せ、先生。あの、自分から話すので、今はちょっと~…』
「じゃオレから言うわ」
『愛龍!?』
待って、心の準備が出来てないんですが。
愛龍が堂々と教卓へ向かって行くので、慌てて私もついて行く。
「………」
教卓では相澤先生が静かに私達を待っていた。そして黒板の前まで行くと、教室の隅へと下がっていった。
『………』
フー、と息を吐く。
これから話した事を無理矢理受け入れろ、なんて言わない。ただ、真実を知っても…私と友達でいてほしい。
_私の光(とも)でいてほしい。
もし、拒絶されたら…その時はその時だ。ネガティブな考えなんて、私らしくない。
『…これから話す事は…私と愛龍についての事です』
「八雲達の…?」
『私達の存在をどう思うか、どう感じるか…この話を聞いた後の、皆の判断に任せる』
「………」
ふと、右手が握られるのを感じた。見なくても分かる。愛龍の手だ。
私よりも一回り大きい温かな手は、自分のちっぽけな不安や怖さを包み込むように握ってくれた。
大丈夫。だって、私と愛龍だもん。
『私達は…異世界から来た“魔道士”なの』
私は、恐れない。