第11章 春は あけぼの
「私ッ、、、アンタと同じ大学に行きたかったんだ、、、!だから受かったら、1番に言いに行こうって思ってた、、、なのにッ」
好きだ。
「そんで一緒に部活頑張ろうって、、、アンタと一緒に全国に、、、なんて、、、っ」
ガラにもない
そんな夢を見てしまうくらいに。
今、やっと気付いた。
こんなの、、、バカみたいだって、笑う?
「バァカ、、、」
ほら。
失望しちゃうでしよ?
「そんなんなら余計に早く来いってのォ、、、」
「、、、?」
荒北が沙織の肩に顔を埋める。
その様子に戸惑った。
「そんで、、、こうやって泣けばいいだろーが」
「、、、!」
「泣くとこ見られて嫌われる?ハ!笑わせんナ!」
「、、、」
「お前だったらイイ、、、」
ギュッと力強く抱きしめられて、涙が零れて頬を伝った。
「荒北、、、」
「そんなことで嫌いになるくらいなら、こんなとこで待ってねェっつーの、、、」
そうだった。
荒北はずっと。
沙織の頭にこの1年のことが蘇る。
「後期試験受けンだろ?、、、絶対に受かれ。待ってっから」
荒北はずっとこうして沙織を待っていてくれた。
「おんなじヘマしたら許さねェぞ?絶対に受かって、一緒に洋南行くからナ」
ずっとこうして隣にいてくれた。
「ひっくり返してみせろヨ。テメェはそういう奴だろ?」
「うん、、、!!」
不敵に笑う荒北に応えるように
沙織は荒北の背中に回した腕に力を込めた。