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隣の彼は目つきが悪い【弱虫ペダル】

第9章 break time④ 文学少女と荒くれ図書委員


「夏子!今日も図書室?」


「うん、こないだ借りた本読んじゃって。借りにいかないと」


「ホント好きだよねぇ」


「夏子の部活だもんね〜」


「お一人様読者部?」


「あはは、それいい!」


「も〜からかわないで。ほら!2人とも!部活に遅れるよ!」


「あ!そうだそうだ!それじゃね!」


「じゃねー夏子!」


「うん、また明日!」









佐野夏子。17歳。


私は本が大好きだ。


だからこうして放課後は、図書室で過ごす。



静かなこの空間で大好きな本を読む。
中学から続く、私の至福の時間。





しかし、高2になった今年から何だか図書室の雰囲気が変わった。

それは多分この人のせい。



ガタン。




だらしなく貸出係の席に座って、大げさな音を出して机の上に足を載せるこの人の。






この人が貸出係になるだけで誰も本を借りなくなる。
それどころか図書室から人はほとんど居なくなる。







「これ、お願いします」


「ア?」


そう言ってこの人はいつも面倒くさそうに顔を上げる。
その目つきは今にも噛みつかれそうなくらい鋭く獣のようだ。




「ったく、面倒くせぇなァ、、、」



その言い方は冷たく怒ったようで。
今にも因縁を付けられそうな物言いだ。
だから皆がこの人を避けるのも仕方ないと私も思う。





だけど私は知っている。



「せっかく良い調子で解けてたのによォ、、、」



この人が受験間近で委員の仕事の合間に赤本を解いていることを。
それくらい勉強熱心なのだということを。



それから、、、


「えっとォ、借りたい本はこれかァ?」

「はい、、、」

「お、また違うヤツじゃナァイ?前のもう呼んだのかよ!」

「、、、はい」



私が前に借りた本をいつも覚えていてくれることを。




「っつか、マジで読むの早すぎじゃね?好きすぎンだろ!」



はい。好きなんです。そんなあなたが。






あなたに会いたくて、
あなたにこうして話しかけてほしくて、


ちょっと夜更かしをしてでも、あなたの当番の日に新しい本を借りられるように頑張って本を読むくらい。








あなたのことが大好き。





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