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隣の彼は目つきが悪い【弱虫ペダル】

第6章 秋は夕暮れ①


その後、2年に上がって彼女達とは違うクラスになった。

香田さんは岩元さんのおかげなのか学校にも少しずつ来るようになったみたいで、廊下なんかですれ違うことか増えた。
だけど彼女は俺を見ない。
俺は気づかれないように彼女を見てるだけ。
相変わらずの一方通行。


インターハイ。
それに出られるようになったら彼女に見に来てほしいと伝えよう。
そして証明する、もう俺は弱くないと。
その時は彼女も俺を見てくれるんじゃないかって。
ただの予感だけど。
そう、決めていた。

自転車の調子は2年になって確実に良くなっていた。
《箱根の直線鬼》なんて呼ばれるくらいに。
まぁ、悪い気分ではなかったよ。
鬼って自覚はあったしね笑
今年こそは行けるんじゃないか。
そんな自信があったんだ。
そしたら君に、、、なんて考えて、
レースに出るたび楽しくて、
もっと速くなりたいって、
必死だった。

だから、あの時、止まることなんてできなかった。
そんな選択肢、全く浮かばなかったよ。
後で見に行って、母親の亡骸の隣で、動かなくなった母親にずっと寄り添っていたであろうウサ吉を見て、、、
絶望した。

ウサギを轢いたとき、タイムロスだと思った非情な俺。
本当に醜くて、、、、
幻滅するよな。俺もそう。


近づいたかと思った君の背中は
更に遠のいて、、、。


廊下ですれ違っても、
俺は彼女を見ることができなかった。
岩元さんと楽しげに笑う君の声を
聞くことさえも苦しくて。


ウサ吉を見るたびに
責められているような気がして。
とりあえずダンボールに入れたウサ吉を
このまま置いて帰ったら
少しは苦しくないのか、
なんて、、、。


「新開くん?こんな所で何してるの?」


本当に君はタイミングが悪いなぁ。

そんなことを考えていたら
岩元さんが現れた。

もしかしてわざとかな?笑
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