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【Fate・FGO】施しの英雄

第6章 強襲




それは人生最悪の目覚めだった。

ミサイルでも落ちたのかと勘違いする程の激しい光と爆音を眼下に見下ろす。この高さ、およそ地上20mといったところか。いち早く危険を察知し直上に跳んだカルナによって上空へ退避していたのだ。
爆発で熱せられた空気が上昇気流となり、私の髪を激しく掻き乱す。


「マスター、怪我は?」

「何ともない……それより、コレ何なのよ」

「敵襲だな」

「そんなことわかってるって!問題はその正体!」

焦土と化した地面に着地する。辺りには黒い煙とプラスチックの焦げ臭さが燻っていた。父が残した全財産を注ぎ込んだ私の魔術工房と言う名のマシンルームは、一瞬にしてその役割を終えた。しかし泣き言を言っているような暇は無い。

一撃でこの威力とは……剣なのか、弓なのか、戦車なのか、はたまた狂戦士なのか。

「姿が見えないとなるとアーチャー(弓兵)の遠距離攻撃、もしくは爆撃機にでも乗った英雄でも召喚されたとでも言うの?」


「マスター、俺の勘だがこの攻撃は恐らく……キャスター(魔術師)のサーヴァントだ」

「なによ、それ!だって昨日ッ」


その瞬間、何も無い場所から、すぅと男が現れた。
浅黒い肌にゆったりと編まれた銀の長髪。柔和そうな微笑みをたたえて立ちはだかる男からは、対峙するだけで飲まれてしまいそうなオーラ……圧倒的な魔力を感じた。

「どうも初めまして、ランサーのサーヴァント……そして小さな魔術使いさん」

一瞬で距離を詰めたランサーの槍は彼の魔術障壁に阻まれ、ガチンと硬質な音を響かせる。

「おっと、せっかちなランサーだ。まだ挨拶の途中だろ?」

「笑わせるな、キャスターよ。不意打ちはお前の方が先だったろう」


昨日戦った女のキャスターだって、マスター不在で酷く消耗してたとは言え、最高クラスのサーバントだった。
しかしこの男はそれを遙かに凌駕する。

「ランサー、コイツはヤバイかも」

「俺もそう思っていたところだ。これは言った方がいいのだろうな……オレは今、ブラフマーストラが使えない」

「……嘘」

カルナは生前、二人目の師匠から奥義を授かる為に身分を偽っていた。
それがバレた際に受けた呪いの一つが、『自分より格上の相手に奥義が使えなくなる』というものだった。



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