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大体ばくだん岩のせい。

第4章 雪降って地固まる


小屋の煙突からゆるゆると立ち上る煙を見上げながら、
「中には居るみたいね」
マルティナは馬を降りた。小屋の周囲は、一面ふっくらとした新雪に覆われている。今ここに彼女らが訪れるまで、出入りはなかったらしい。
「おい、マルティナ。こっちこっち」
いつの間にか窓のそばに身を寄せたカミュが、小声で手招きをした。
「ちょっとカミュ…」
「いいから、見てくれ」
渋々、マルティナも中をのぞく。そこにはテーブルをはさんで大小の人影があった。
――○○とシルビアだ。
「よかった!無事みたいだわ」
遅めの朝食だろうか。スープとパンらしきものがテーブルに運ばれている。
ほっと胸をなでおろしたマルティナの横で、カミュが頭を掻いた。
「そうなんだけどよ…なんか、こう、ぱって入りづらくないか」
「え…?」
もう一度室内を伺う。見た限り、普段通りの二人に見えるが。
――ただ、言われてみると確かに何かが違う。
ガラス越しに見えるお互いの振る舞いは、一見いつも通りだ。だが。
「あっ…シルビア、お皿落とした…」
「慌てすぎじゃねえかおっさん」
「あああ○○、スープこぼしてる、よそい過ぎ、よそい過ぎ」
「右手と右足一緒に出てるぞ…」
顔色を変えたカミュはマルティナを見て首を横に振り、マルティナもだめだと言わんばかりに首を振った。

――明らかに、何かあった。

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