第2章 新しい仕事
おはようございます、と私の声が
古い家屋に響く
奥からバタバタという足音が聞こえ
おはようね
と優しい声が帰ってきた。
一通りの作業を簡潔に教えて貰い
人が来るのをただひたすら待つだけ
店の外から賑やかな雑音がし始めた
時計をふと見ると午後0時
お昼時になっていた。
ただただぼんやり座って外を眺めているのも
案外苦痛に感じる
外の人間が少しだけ恨めしいな
ガラガラと扉が開く
初めてのお客様だ!と心が踊る
緊張しつつもはっきりと
「いらっしゃいませ」
きっと笑顔は引き攣り頬の筋肉はピクピクとしている
恥ずかしくなり俯いて
お客様の顔を見ずに接客をしようと思う
「ん」
お客様は水と三色団子を差し出してきた
450円です、と告げる前に丁度の小銭を渡して
そのまま品物を持って扉に向かっていった
慌てて
「ありがとうございます!」
と叫びお辞儀をすると
再びガラガラと扉が閉まった
私の頑張ろうという気持ちもガラガラと閉まった
なんだ、コンビニみたいに頑張らなくてもいいんじゃん
ほのぼのしたやり取りを期待してた自分を殴りたい