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【弱ペダ・巻】追いかけつつ、追われつつ

第1章 窓辺の君


いつもの練習、坂を上がるのと同時に校舎が見えてくるポイントがある。そのポイントで一番に目に入るのは最近気になる図書室の君。
まぁ、図書室といってもその子がいるのは自習席で、なんでその子が毎回そこに居るのが分かるかというと珍しく女子でショートカット、自習席だと言うのに小説であろう本を読んでばかり。
「例の子また居たな」
「そうな」
本当に毎回毎回目につく彼女。
「早く声かけてこいよ」
「うるさいショ」
好きではない。ただただ気になるだけなのだ。友人達にも彼女の存在は知られており、俺が気にしているのも知られている。今年から姿を見るという事はきっと1年。小野田に聞いても分からないだろうし聞けばますます知られてしまう。今泉は知ってそうだが理由は聞かれたくない。鳴子なんて大騒ぎしそうだし、寒咲妹にも知られてしまうのはなんだか気乗りしない。気乗りはしないが気にはなるので
(来てみたけどどうするショ俺···。)
ある日の部活前、試しに図書室に来てみた巻島。中を覗いて見ればいつもの席に座る彼女は今日は座っておらず少し残念に思っていると
「あれ?巻島じゃん、どうしたの?」
と図書委員のため受付を担当していたクラスメイトが声をかけてきた。頬をかきつつあの席に視線をやったまま
「あ····のさ、いつもあの席に座ってる子って···」
と、彼女を気にしている事はあまり知られたくなかったが、どうせ知らないと思って尋ねてみると
「え?どの席?あぁ、あの席ね。それならこの子だよ?ね、名」
と、まさか例の子が隣に座っていると思っていなかった。
「?!」
見れば確かにいつものあの子。ショートカットかと思っていた髪は少し長めで
「委員会の後輩よ」
と図書委員で名という名前で帰宅部でやはり1年生で、受付の担当以外はあの席にいることが多いとクラスメイトが話す。
「こんにちは」
初めて聞いた声は思っていたより低く
「え?あ、そう、そっうだったんショ。い、いや、あっと、じゃっ」
と、ろくに挨拶もできず巻島はその場を去った。
(ヤバいヤバい。印象最悪、まずいっショ。最悪っショ。第一印象最悪すぎる!)
あんな、ぶざまな感じになってしまって、カッコ悪い。あぁ、カッコ悪い!!
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