第8章 【白石甘】夏祭り
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五分前に到着。
基本やろ。
…って思った俺がアホなんやろか。
結菜は既にきとった。
いつもと違って髪をお団子に結い、黒に桜の散らばった大人っぽい浴衣をきて…
どうしたらええか戸惑っとったら、
結菜の方からよってきた。
「蔵!うち、早く来すぎてしもた。行こか??」
「せ、せやな。」
ドキドキしながらも屋台一つ一つ見いてまわった。
結菜は意外に、射的も金魚すくいも上手くてびっくりしたわ。
いや、もちろん俺の方がうまいで。
「5分後に花火上がりまーす。」
警備員の声が聞こえると、俺は結菜の手を引いて
屋台もなく人気の少ないところに連れて行った。
「蔵?ここ、花火見えるん?」
「あぁ。絶好のポイントやで。」
「ほんま?あそこ見ずらそうやったからなぁ。」
あと少しで花火が始まる。
時計を確認して二人で空を見上げた。
「なぁ、結菜のこと好きやで。」