第4章 【丸井甘】おかし。
部活が終わり、自分の着替えが終わると
私は男子部室の壁に寄りかかってブン太くんを待った。
"好き"ってわかると、女の子は乙女になっちゃうんだね―…。
なんか、あたしらしくない…。
自分でいうのもなんだけど、自分が気持ち悪いくらい。
「あー…腹減ったぜぃ…ん?」
「あ…。」
「あーぁ、お前がクッキーくれてりゃーよー。」
「えっと…」
いざ、ブン太くんを目の前にすると、
口から心臓が飛び出しそうで、ずっとドキドキしてて、話せなくなってしまう。
おかしいな…さっきまでは話せてたのに…。
「…なんだよぃ?」
「これ、あげるっ。」
やっと絞り出して言いながらさしだしたのは、ブン太くんが欲しがってたクッキー。
「あのね、これ…」
「手作りなんだろ?」
すぐに受け取り、食べ始めるブン太くんに手作りだと教えようとすると、
ブン太くんは知っていたようだった。
「どうしてそれ…」
「お菓子作りが好きで、おしゃれな菊田結菜。テニスは強いけど、勉強は苦手。
俺、お前が好きでずっと見てたんだぜぃ?
部活の時、いっつも。全国No.1は知らなかったけどな。」
「あ…。嘘…」
あたし、いますごく顔赤い気がする…
だって、ブン太くんがこんなにあたしをっ…
「ホント。なぁ、これからもずーっと、俺にお菓子作ってくれよ。あ、お小遣いに余裕ある時だけでいいぜぃ。」
「…うん!!」
あたし、もっと美味しいお菓子作れるように頑張るよ!
ブン太くんが笑顔になれるような…ね。
「よし、今日から結菜は俺の彼女な。」
「…うん。…え!?なんでそーなるの!?」
「俺のこと嫌いか?」
「そんなこと…ない、けど!展開が急すぎ「はい、決まりー。帰るぞ―」」
「なにそれ!」
クッキーを食べ終えたブン太くんは、
あたしの手をとって歩き始めた。
強引だけど、あたし、彼女になれて嬉しいかも。。
あたしはこれから先、もっともっとブン太くんが好きになってしまいそうです―…。
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