第3章 【跡部切甘】あたりまえ
結菜Side
「結菜ちゃん!」
放課後、何となく教室で黄昏れていると、
ユニフォーム姿の忍足が現れた。
「忍足…?」
「跡部と何かあったん?」
「いろいろと…ね。」
「よかったら、話してくれへん?」
心配そうな、
寂しそうな、
そんな微笑みを浮かべる忍足に、
何となく今朝あったことを話した。
私の気持ちも、
なにもかも…
「そんなことあったんやなぁ…。その気持ち、跡部にちゃんと言わなあかんとちゃう?」
「うん…。」
「跡部呼んだるから、ここで待っとき。」
「忍足…ありがとう。」
忍足に言われて、私はここで待つことにした。
なんて喋ろうか、そんなことを考えながら、机に顔を伏せた。
待つこと数十分。
その時間が、私には何時間にも考えられた。
ガラッと言う音と共に、
勢いよくドアが開いた。
そこにいたのは、息をきらした景吾の姿。
待ち望んでいた彼に、いままで考えてた喋ることは吹き飛んでいった。