第3章 【跡部切甘】あたりまえ
景吾Side
息を切らしながらドアを開けると、
あいつは驚いた顔でこちらを見た。
その驚いた表情も、今はものすごく愛しく感じる。
「おい。俺様に寂しい思いさせるとは良い度胸してんじゃねぇか。」
「え…?」
一歩ずつ歩み寄ると、結菜は立ち上がった。
俺は目の前に行って跪き、ゆっくり左手をとって薬指に口づけた。
「離れたくねぇんだよ。傍にいろ。」
初めて抱いた恋心とやらは、俺を素直にさせた。
「ごめん、ごめんね。景吾…。」
そう言いながら隠すことなく涙をながす結菜。
「あたし、景吾の気持ちが知りたかっただけなの…。ホントは、傍にいたいの…。」
そして初めて聞いた結菜の気持ち。
改めて、心の底からいってやる。
俺様にこんなことを言わせるのは、
そして、俺様が跪くのは結菜が最初で最後の女だ。
「好きだ。愛してる。俺様の女になれ。」