第3章 【跡部切甘】あたりまえ
景吾Side
放課後、生徒会室で溜まった仕事を一気に片付ける。
溜まった、といっても、自分でためたものではなく、教師が溜めてこちらへおろすのを忘れていた仕事だ。
「ちっ…終わんねぇ…。おい、結菜……。」
くそっ…
いつもなら、一緒に手伝ってもらったはずだった。
話しながら、一緒に仕事した…。
会長の椅子に座る俺の目の届く、目の前のソファで文句の1つも言わねぇ。
俺は、仕事をその辺の歩いてる生徒に手伝ってもらおうとした。
俺様の誘いを断るやつはそういない。
でも、結菜とじゃねぇと嫌で、
ただ、違和感しか感じない。
だから、誘えねぇ。
「要するに、好き、なんやろ??」
一旦手をとめていつもゆなが座るソファに手を添えていると、生徒会室の入口には、いつの間にか忍足が立っていた。
「アーン…?」
「聞いたで??結菜ちゃんと別れたんやろ??」
「まぁな。」
「仕事、結菜ちゃん以外としたくないんやろ??」
「………あぁ。」
「寂しいんやろ………?」
「…あぁっ…」
「教室、まだおるで。」
少しずつ、忍足によって導かれた俺の気持ち。
俺様らしくもねぇが、大切にしたいと思った。
忍足の口から出た場所に、走って向かった。