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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第7章 【桜色】UA チームカンファレンス


~Sideハイリ~


外が賑わしい事に気付いたのは
自分が作りあげた気まずい沈黙の為だった。

時計の針は、既に午前の授業が終わったことを告げており


(そろそろ教室に帰らなきゃ。)


眠る前にLINEで交わした約束を思い出す。

だけど目の前の問題が
私を素直に動かしてはくれなかった。











「そじゃなくて、自分の“個性”が治癒じゃないってことは
自分が一番よくわかってるってだけだよ。」

「治癒じゃない…じゃなくて
治癒だけじゃない…だろ?」

「同じでしょ? どっちも中途半端じゃない…っ。
ちよちゃんや、お母さんと違って欠点だらけじゃない…っ!」


意に反して語尾が強まっていく。
滲みそうになる視界を拒否するように
何度も瞬きを繰り返す。

どれだけ理不尽だろうとも泣かない
それだけが私の意地だ。


「ハイリ、決めるのはお前だ。
ただ、時間は待っちゃくれないんだよ…。」


握りしめた手に小さな皺だらけの手が重なる。


「泣いたっていいんだ…」


そう言ってくれているのに
どうしてもこの意地を捨てられないのは
自分が抱えているコンプレックスのせい。


「ハイリ…。」

「泣かない!!!」


次に
髪を振り乱しながら大きく首を横に振る。

そんな素直になれない私に呆れてか、
リカバリーガールはそれ以上何も言ってはくれない。


「…………。」


そして
私の訴えはいつもここで終わる。

わかっていてもこの状況がどんなにきつくても
大人しく言う事を聞けるほど
私は素直じゃない。

だからと言ってこの人たちを切り離して
一人で自分の“個性”と向き合えるほど大人でもない。
いつもの事だ。


「ごめんなさい……。」


最終的には謝ってなぁなぁで終わる。
今まではこれで済んできたけど
雄英に進学した今、それではもう済まないのが現実だった。




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