第7章 【桜色】UA チームカンファレンス
~Sideハイリ~
―――――………
日々刻刻と強まる春の日差しも
ここだとベージュのカーテンに遮られ
とても柔らかい。
目覚ましに呼び起こされたわけでもなく
リカバリーガールに叩き起こされたわけでもなく
自然に目が覚めたと言う事は
充分に睡眠がとれたと言う事なのだろう。
「ちよちゃん…。」
一番に視界に入ったのは見慣れた天井だ。
次にいつも怒りながら、なんだかんだで甘やかしてくれる
大好きなおばあちゃん。
リカバリーガールは
なにする訳でもなく、私が眠るベッドの隣に座っていた。
全く、
雄英の看護教諭が
いつ患者が来てもおかしくないこの時間に
カーテンに仕切られた所に居ていいのだろうか?
溜まらず笑みが込み上げた。
「お仕事さぼっちゃダメだよ。」
「あんたと一緒にするんじゃないよ。
ちゃんとやってるさ。」
約束どおり
起きたと同時に差し出されたのは
着色料満載な毒々しい色味のグミたちだ。
相変わらずのジャンクなチョイスに安心して、
黄緑色を一つ摘まみ上げながら
ぽつり、今の不安を吐き出した。
「やっぱり私は、ちよちゃんみたいに
雄英の看護教諭になるべきのかな……?」
返事は
大分間を置いてから返って来た。
「……………そんなに嫌かい?」
雄英の看護教諭のどこに不満がある?
静かな反応が自分を勝手に追い込んでいくようだ。
誇りをもって長年勤めている人に対して問う言葉じゃない。
しかし、私にとってはリカバリーガールこそが唯一問える相手だった。