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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第7章 【桜色】UA チームカンファレンス


~Sideハイリ~


あんなに遠く、重く見えていたA組のドアは
いとも簡単に開き、音も無く閉まった。

轟くんが何も言わなかったら
あのドアから出ることは叶わなかっただろう。

皆が教室へ駆け込む時間
私はその波に逆らって人気のない廊下を進む。
目的のドアの前に立つと
ポケットの中でスマホの着信を知らせる振動が伝わってきた。

消太くんだろうか…?

有無を言わさぬ目だった。
もう考える時間を貰えそうにない。


(それに…)


サラリと撫でた首の付け根
左の鎖骨の僅かに上の場所。
朝念入りに塗って来たはずのファンデーションは
殆ど指についていない。


『俺は知っている。』


はっきりとそう言われた。

相手が誰かまでバレているんだろうか…。
悩みは尽きそうにない。


取りだしたスマホには
LINEが1件


【昼休み話せるか?】


轟くんだった。
大方心配してくれているんだろう
思えば初日から迷惑かけてばっかりだ。


【もちろん! お昼おごるよ~(*´ω`)】


文面で明るく振る舞って見せたとしても
彼には筒抜けだろう。
それでも装わずにはいられなかった。









「せんせぇ…お腹痛いです。」


目的のドアを開けながらの精一杯の演技は一瞬で見抜かれた。
その部屋の主は
私が来ることなんて
初めからわかっていたかのようだ。


「おやまぁ下手くそな仮病だね。
こっちへお座り、お菓子あげるよ。」


座れと言いながらベッドへと招く。
本当にここの人たちには何も隠せないと痛感してしまう。

促されるままベッドへ腰かけネクタイを外す
窮屈なのは好きじゃない。
シャツのボタンを二つ外し、寝そべりながらリカバリーガールへと笑って見せた。


「ねぇ、お菓子は?」

「起きたらあげるよ。少しお休み。」

「ん…楽しみにしてる。
昼休み前に起こしてね。」

「午前の授業、丸々サボる気かい?
全くとんだ問題児だよ。」


ブツブツ文句を言いながらも、
カーテンはいつもより緩やかに閉められた。

何かあった位はバレバレなのだろう。
何があったかまでバレているのかも。

なのに
何も聞かずに寝床を提供してくれた事実が
今はただ嬉しくて
不安を握りしめたまま、夢の中へ落ちていった。



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