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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第7章 【桜色】UA チームカンファレンス




相澤は喜々として笑った。


その目は見開かれ
開かれた口の端は天を向く。

その表情はヒーローよりヴィランの様だと言うべきか。
それもその筈
ここに来てようやく全て思惑通りとなったのだから。


「確かにそうだ。」


あくまで平静を装い担任として言葉を返す。

問われた言葉もまた事実。
本来ならば、昨日の戦闘訓練のⅤの感想ともう1点、クラスの委員決めを執り行う予定だった。

時間を見れば
クラス委員だけならギリギリ間に合うと言ったところか。
残りの委員決めは帰りのHRになりそうだ。

偶然か、計っていたのか
そんなものはどちらでもいい。

今はまず、轟がせっかく作ってくれた退路へハイリを逃がしてやらねば。


「ハイリ…。」


相澤の言葉にハイリは恐々と目を上げた。
発言した轟との関係がバレやしないか
心配しているのだろう。

轟にだけ視線を送らない。
その不自然さは元から知らなくとも
気付いてしまう程だというのに。


(まだ子供だな。)


鼻で笑い少女の肩へと手を伸ばす
跳ねた肩を抑える様に掴み、鎖骨から首元へと親指で拭う。


「俺は知っている。」


『何を』
そんな無粋な事、口にする必要ない
なぜなら既に行動で示しているからだ。

親指に着いた女性特有の香りがするそれを
こすり落としながら様子を見れば
言わんとしている事は十二分に伝わったように見える。

噛み締められた唇は白く
心なしか肌も青白い。


(そろそろ限界か。)


入口の方へと誘導するが如く肩を押してやれば
つんのめりながらトン、トンと数歩足を踏み出した少女

その頼りない背に声を掛けた。


「話は一旦終いだ、次は電話に出る様に。」


「クラスへ戻れ」と付け足し、
呆けた様子で少女を見守る生徒たちへと目を向ける。

ハイリは「失礼しました。」と一礼し
教室を後にした。




















全ては――思惑どうりに……




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