第7章 【桜色】UA チームカンファレンス
~Sideハイリ~
「今日のHRは少々やることがあるからと早めに来てみれば
思わぬ所で会ったな。いい機会だ皆に紹介しよう。
おら、皆席に着けー。」
なんとやる気のない「席に着け」だろうか。
1-A担任 相澤 消太
この人の人となりは把握しているつもりだ。
誤解されがちなタイプだけれど、筋は通った人だ。
鬼畜な事をするけれど、ちゃんと理由がある人だ。
そしてその理由には結構優しさが隠れてたりする
だがしかし、結構伝わりにくい…そんな人だ。
正直
教師に向いてないこともないと思う。
ただ、この通常の気だるさだけは如何なものかとも思う…。
広い教室
綺麗に並べられた席は縦に5・横に4、全部で20。
皆の視線を一身に浴びながら
立たされた教壇の後ろにあるボードには
縦に楠梨ハイリと大きく映し出されている。
まるで転校生だ。
一つ相違を上げるなら。
先生が勝手に紹介しているところくらいだ。
それはそれは抑揚のない声で綴られる紹介は
私に対する嫌味でしかないように思えた。
「楠梨ハイリ、“個性”メディケーション…ま、治癒だ。
ヒーロー志望なら将来必ず世話になると言って良いだろう。
結んでおいて損はない縁だ。仲良くするように。」
酷い言われ様だ
利用価値は高いぞ、と言っている様なものだ。
そう言うのはせめて本人の居ない所で
叩くべきものだろうに
敢えて紹介文に入れ込んでくるとは
かなり…ご立腹だ。
(自分の意志を曲げてでも
ヒーロー科に大人しく入るべきだったのかもしれない。)
不覚にもそう思ってしまった。
思わされた。
悔しいけれど、この人は私の事を私以上に理解している。
どう言われるのが一番嫌いなのか
どう扱われるのが一番怖いのか
一番の理解者だからこそ
私はこの人は苦手で、怖いんだ。