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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第48章 【深緑色】症状(中期)




ガチャンと音を立ててトレーを置く
あまりの荒さに担々麵入りの器が跳ねた。

よくスープ零れなかったな
流石だ。

そんな流石の爆豪くんは
今日、朝からすこぶる機嫌が悪い。


「爆豪くん、切島くん達は?」

「いつも一緒だと思ってんじゃねぇKYがッ!」

「ハィハィ…KYですKYです。」


朝から今に至るまで
色々察する理由はあるものの
今、彼の機嫌を悪くしている原因なら心当たりがある。


「あ、爆豪くんこんにちは!」

「………。」


どかりと腰を下ろしたその席は
ミミちゃんの隣だ。

爆豪くんて本当に愛想ない
態度も悪いし
目つきも悪いし
口も悪いし

でも、そうじゃない。

隣に座っておきながら
あいさつされても目も合わさない
返事もしない。


(これじゃシカトだよ…。)


決して悪い人じゃない
それどころか人一倍ヒーロー魂を持った人
だけど彼は
どうやらミミちゃんの事をよく思っていないらしい。


『あのモブ女にあんま関わんじゃねぇ…。』


午前中のヒーロー基礎学
救助訓練レースの待ち時間に
そっと耳打ちされた一言

一瞬誰の事かわからず首を傾げた私に
刺さる緋色の視線は真剣だった


『モブって…誰の事?』

『保健室で会ったろーが
てめェがぶっ倒れた日だ。』

『栗井、ミミちゃん?』

『名前なんざ知るかよ…』


こんなキャラだけど
本当は優しい人だから

ミミちゃんだけじゃなくて
焦凍に話しかけてくる女の子
皆を睨みつける人だから

きっと彼女も他と同じに見てるんだろう。

あの子は違うって言おうとしたの
でも、順番が来てしまって
結局話せないままで

どっちも悪くない
ちょっと誤解があるだけ


(…かといって
彼女の前で言う訳にも行かない。)


バレないように細く溜息をついたら
真正面から赤い矢に貫かれた。


(怒ってる…。)


へらりと交わしてずらした視線

焦凍と同じざる蕎麦を食べてる彼女は
お箸で麺を掴んだまま
爆豪くんからも庇おうとしてくれてるんだ。


「ちょっとそんな怖い顔でハイリちゃん睨まないでっ!
折角のご飯なんだから仲良くしよっ?」

「話しかけんな」

「爆豪くん冷たい!」


正直、泣いても罰は当たらないと思う。
なのにこの子ってば常に笑顔で…


(天使だ…)


天使がここに居る。

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