第48章 【深緑色】症状(中期)
「えぇぇ!?
じゃぁそれからずっと病院だったの?」
「んーん…退院したらみんな職場体験先に戻ったよ。」
「轟くんも?」
「ん、あぁ…俺は戻った。」
「俺は…?
じゃぁハイリちゃんは?」
「私はー…自宅待機?」
職場体験後の学校は平和そのもので
当校シェフの料理に舌鼓を打ちながらのランチタイム。
「ずっと連絡なかったんだから!」と拗ねていたミミちゃんも一緒に3人で食事をとった。
第一印象は大人っぽい子だったけど
無邪気で駄々も可愛くてなんだか妹みたい。
3人での食事も初めてだったのに
違和感なく馴染んてて
ホント、不思議な子。
秘訣を教えて欲しいくらい。
「だからハイリも一緒来いっつっただろ…。」
「行ける訳ないでしょ!指名来てなかったのに!」
「親父の事なんか気にすんな。」
「そういう問題じゃないの!」
お友達になってまだ日は浅い。
でも着実に彼女の立ち位置は私の中で固まりつつある。
その立ち位置っていうのが
これまた不思議な感じなんだけど…
「轟くん!
私のハイリちゃんを困らせないでぇぇぇっ!」
滅茶苦茶なこと言う焦凍から庇ってくれるの。
常に私の味方。
クラスの子たちは
ここまで介入してこないから
こんなの初めてでちょっと嬉しいし、くすぐったい。
不思議な新しいお友達は
とっても可愛くて優しい女の子
なんだけどね
ただね…
「ハイリは俺のだろ?」
「いくら轟くんでもここは譲れなぁいっ!」
なんでこうなるんだろ…?
不思議そうにキョトンと返す焦凍と
それに真向から噛みついてるミミちゃん。
微妙に噛み合ってないんだけど
そろそろパターン化してきたこのやり取り。
嬉しいんだけど確実に私は蚊帳の外だ。
何故だ
なんで私の周りはこんな人たちばっかりなんだ。
焦凍といいミミちゃんといい
私を置いていくのはやめて欲しい。
「あの、二人とも…。」
フォークを持った手をそのまま上げた時だった
一つの影が目端を過ぎる
そうそうこの二人だけじゃない。
忘れちゃいけない
この疎外感を一番最初に私に教えた人物が一人。
「ア"?
こっち見てんじゃねぇッ!」
何故か目の前に座った
爆豪くん、だ。