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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第47章 【深緑色】デイドリーム




トコトコ
トコトコ
近づいてくる

自分の足音に紛れて夢の足音が

歩みを止めちゃいけない
その足音まで止まっちゃうから

臆するな
踏み出す事を、恐れるな

動かなきゃ
起きてる夢を描くことすら叶わない









「あっははははっ!」
「ッ苦しい、駄目だッ…ツボにっ!」

「……なんで笑ってんだ?」








私の患者さんがいる病室は
扉を開ける前から笑い声で溢れ返っていた。

眼鏡の奥に涙を溜めて笑う飯田くんと
お腹を押さえて蹲っている緑谷くん

一人首を傾げる焦凍は
見るからに置いてけぼりだった。


「……何事?」

「あっ楠梨さんッ!
聞いてッ…轟くんがさっき…ッハン…ブーーッ」
「だからだな…くックラッッ…」


私に気付いた二人は
説明しようとする気はあるんだろう…。

だけど、笑いが収まらなくてまだ難しいようだった。
だからって一人笑ってない焦凍と言えば…


「ハイリ。」


どうも全然ついて行けてない様子。

こっちへ来いと言いたいんだろう
右手を差し出す姿は
何とも助けを求められているようにしか見えない。


(説明が欲しいのはこっちなんだけどな…。)


彼に説明をして貰うのも無理そうだ。
苦笑を零しながら
焦凍のベッド脇へと歩み寄った。

ベッド上から私を抱き寄せる
焦凍は真面目に悩んでいるみたい。

緑谷くん達に向けられた申し訳なさそうな目
その緑谷くん達はまだ…爆笑中なのだけど


「だってッ…ハン、ハンドクラッシャーーー!!!」

「みど、りやくんっ止めてくれッ
やっっと落ちッ…着くとこだッッ…」


ハンドクラッシャー?
何とも言えないパワーワードが出てきても
二人の笑いは止まらない。

とりあえず二人はさて置おこう。
今は焦凍だ。

一人置いてけぼりの彼は
珍しく表情を露わにしている。

冷や汗をかいて何故かどんよりと
ここだけ湿度が高い気がするのは
気のせいではないみたいだ…。


「えと…猫リンゴ食べよっか!
ね?」


抱き付いてくる彼の頭をそっと撫でる。

余程落ち込んでるんだろう
あれだけ気に入っていた猫さんの名前を出しても
反応は微妙だ。


(何があったのもうっ!)


理解することは早々に諦めて新しいリンゴを手に取った。
何って勿論
猫さんを作る為だった。

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