第47章 【深緑色】デイドリーム
「悪かった…。」
「いいえ…っ。」
病人用のベッドの上で
私に覆い被さったまま耳にキスを落とす
そんな彼は3回でどうやら満足したらしい。
罪悪感なんて微塵も感じない
それはそれは幸せに満ちた声だった。
「ゥン」と唸って頭をぐりぐりと摺り寄せる
声はさっきまでの余韻が残ってるせいかすごく色っぽい…。
だけどこれは
甘えてるんだと思う。
(首に回された腕が
ちょっと苦しいんだけどな…。)
そうは思っても
今言ったら気にしてしまうだろう。
小さく笑っては
大きな子供の頭を撫でるだけに留めておいた。
最初はね
ちょこっとだけ怒ってたの。
こんな時間に
こんなトコで
緑谷くんも飯田くんも居るのに
なんて悪戯っ子なのっ!!
ってね?
「まだ怒ってるか…?」
でもね
私を抱き起してはこてんと首を傾げて上目遣い
更には制服を直してネクタイまで結んでくれている。
いや、計算ではないんだろうけどね?
素でやっちゃってるんだろうけどね?
こんな顔されたら
怒りだって萎んでしまうし
それどころか頭撫でたくなっちゃうし…
「怒ってないよ…?」
彼の病院着を直しながら
私のチョイスした答えは甘々だった。
大体
拒絶できたのにしなかったのは私だし
嬉しいって思ってたのも事実だし
(一方的に責めるのは筋違いだもんね。)
ホッと和らげられた二色の瞳
怪我しているんだから少しは労わらないと。
そう思ってたんだけど…
「何か食べたいものある?
買ってくるよ?」
「ハイリ…だな。」
労わろうとした矢先のコレに
やっぱりどこかで
線引きはしないとな…ってすぐに思い直した。
「………焦凍くん
ちょっとそこに正座してください。」
「お、おぉ…。」
ちょうど甘えたモードだし
子供にはちゃんと言う事は言わないと、でしょ。
さぁ…お説教タイムの始まりだ。