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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第47章 【深緑色】デイドリーム




ぶつけられた怒りを嬉しいと思ったのは
これが初めてだった。

親父のアレを、お母さんのアレを
果たして「怒り」と呼んでいいモンか…

はなはだ疑問だが
喜んだことは一度もねぇ
それは確かだ。

何故だろうか
ハイリだからだろうか

頬に走った痛みに驚いた心の奥底で
それを嬉しいと、はっきり感じたんだ。




「ハイリ…。」




名を呼ぶたびに締め付けられる。

いつも快楽でしかねぇそれが
今日にいたっては苦しくもある。

泣かせた
苦しませた
怒らせた

それ以上に……恋しさが胸を締め付けた

狂おしい程焦がれている
どれだけ距離を詰めてもまだ足りねぇ

熱気がこもる4床部屋
カーテンで仕切られただけの只一床。

もう夏だってのに
吐く息は白い筋を作っては昇りゆく


「ふっ…ぅ、ン…ッ」


もう抑える力も睨む気力も失くしたか

だらりと開いたハイリに口から出るのは
甘露の声と芯を掻き立てる吐息のみ

細い顎を掴んで
覗く舌に親指を絡ませた。


――ちゅ…ぱっ


甘く響いた水音が耳に心地いい

俺の指先を柔らかな舌が包み吸い上げる
まるで今まさに締め付けられている自身のように


「いっそ食ってくれ…」


アイスクリームでも舐め取るかのように這う舌先に
指をねじ込みながらそう言った。

掴んだままの顎を引き寄せ
唇についた蜂蜜のような雫を舐め取る。

口端を恍惚に上げるハイリの横顔に
また一つ、自分が落ちていくのを感じた。



「ん…は、ぁっ
しょ、と…しょぉとっっ」



体育祭の夜に見た
天上の妓女のような笑み

一度味わっちまえば
二度と他の物なんざ食えなくなるような。

囚われる永久に
嵌まっていく底なし沼に


「ああ、ここに居る
ずっと、一緒だ…」


躰を重ねた時間は然程なかった。
それでも濃く、重い時間だった。

きっと、コイツの為ならなんだって出来る。
そう思わされた時間だった。











だからこれは

そんな淫らな行為じゃねぇんだ。









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