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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第46章 【深緑色】 限局性恐怖症




「だからっ!
あの二人に限って喧嘩だなんてある筈がないんだって!」

「しかし君も聞いただろう
楠梨くんの首でも絞められているかのような呻き声を!」


中庭のベンチ前で口論を交わす少年二人
色違いの息を吐き
その腰を下ろす。

成程
そう受け止めたのか
どうりで躍起になるわけだ。


(困った人だよ、轟くんも楠梨さんも…
飯田くんも…。)


緑谷は零す
やれやれと苦笑を
ならばしかたあるまい…と。

きっと…飯田にとっても
ハイリは特別な存在なのだろう。
思えばいつだって
彼は先だって彼女を守ろうとしている。

不思議な事じゃない。
彼だけじゃないのだから
彼女を特別視している男など
他にも沢山いるのだから。


(僕も、かな?)


他とは違う特別かもしれない
様々な特別があるだろう

彼女は間違いなくそんな女の子だ。

それはクラスを飛び越えて
科を飛び越えて
学年まで飛び越えて…

なんてことはない
自分は観察力だけはズバ抜けているから
その自信はあるから、言い切れる。

緑谷は笑う
小さく柔らかに
自分も含めて皆…困ったものだと。


(楠梨さん…か。)


思い描く姿は鮮明だ

柔らかな髪
長い睫毛に大きな瞳

どちらかと言えば翻弄する側なのに
どれだけ巻き込まれたって憎めない。

あの温かな柔らかな空気が
自ずと人を惹きつけてしまうからだ。

いつからだろうか
彼女の存在を目にするだけで
ホッとするようになったのは…。


(僕も思ったことはあるんだよね…。)


自分のこれを恋と呼ぶかはわからない

だけど一緒に居ると
幸せになれそうな
そんな雰囲気を彼女は常に持っている

理由なく思ってしまう
側に居たいと

だがそれは
中々に叶わぬ夢というものだ。

彼女には既に相手がいる。

元から他を寄せ付けぬその立ち位置は
つい先日
揺るぎないものとなってしまった。


(飯田くんなら
知らなくても当然かも知らない。)


本日の被害者
緑谷 出久 1名
納得しながらスマホを取り出す。

飯田に納得してもらう為に

もう一度眉を下げて笑い
その口を開いた。


「君は知らないかもしれないけれど…
彼らは今、校内のSNSで話題になってるんだ。」



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