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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第46章 【深緑色】 限局性恐怖症




どこの戦地へ赴くつもりだ委員長
緑谷は思う。

いやそんな事
問わずとも予想付くだろう…?

もう一人の自分が言葉を返した…。





「ぁ…まって…ちょ、焦凍っ!」

「あんま大声出すな、聞こえちまうだろ?」





大声じゃなくても
充分聞こえているんだよっっ!!!

もはや自分一人では
ツッコミが追い付かない



間違いない。

飯田は
あのカーテンの向こう側に
行こうとしているんだろう。


(いいのか?
いいのか飯田くん!?)


一歩踏み出された飯田の右足
微かな足音にゴクリ、喉が鳴る。

その距離2mにも満たない。
歩数で言えば4、5歩だろう。

わずかな間
一体自分はどう動くべきか。
乱れ荒れまくる頭を
緑谷は必至で回していた。


――スッ…


一歩


――スッ……


また一歩

躊躇い無く進む足

そして飯田の手が
カーテンを―――


(うわあああああああああ!!!!)


―――掴まなかった。
いや、掴めなかった。

飯田はこの度の戦闘で一番負傷しているのだ
両手をギブスに吊られているこの状態で掴めるはずもない。

転がる様に駆け寄った緑谷は
お陰でなんとか飯田の肩を掴むことに成功した。
今度こそ成功した。

そして
久方ぶりにその口が開かれる


「な、何をしようとしてるんだ君は!!!」


もう声を抑えるなんて配慮も出来なかった。

とにかく知りたい
この声を聞いて尚、その中へ行こうとする勇気。

いや、勇気なんてどうでもいい。
何故入ろうとする!?

そしてなぜ今も
そんな凛々しい表情なんだ!?

一瞬の間に出た疑問の数は
10や20じゃない

自分ですら追えない程の疑問。

数秒緑谷の顔を見つめた飯田は
何一つ動じず
その表情を保ったまま口を開いた。


「何やら轟くんと楠梨くんが
仲違いをしているように思えてならない。
止めようと思ったのだが…。」


それの何が悪いんだ?
問う表情に後光が差して見える。

緑谷はここで初めて理解した。

この中で何が起こっているのか
彼は絶対に気付いていない

どこをどう受け止めて
喧嘩しているという結論に至ったのか…
その思考回路は到底予想出来ないが

委員長はただ
仲裁に入ろうとしただけなのだ、と。


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