第45章 【深緑色】オープン・クエスチョン
生徒3人
いや、ここは問題児3人と言うべきか
各々は三者三様に身構えた。
何故こんなところに……?
わかりきった事だ。
自覚なら少なからずある。
『問題を起こした』という自覚なら…。
資格未取得者が保護管理者の指示なく
“個性”で危害を加える事
これ即ち
「たとえ相手がヒーロー殺しであろうとも
立派な規則違反だワン。」
ヒーロー志望に限らず
それが現代の理だ。
説教をしにきたのだ
通告しにきたのだ
自分たちに
保護管理者であるヒーローたちに
厳正な処分が下される、と。
例え人の命を救う為と言えど
それが規則。
大人に突き付けられた理不尽なルールに
二色の双眼が怒りに穿った。
「待ってくださいよ。」
若い、青い牙をむく
一歩前に出た轟の声は
理不尽な大人へと向けられた。
飯田が動いてなければ
失われたかもしれない命があると
緑谷が来なければ
更に犠牲者は増えていたのだと。
誰も…
ヒーロー殺しの出現に気付いてなかったんだと…。
「規則守って見殺しにするべきだったって!?」
一言紡ぐ毎に声の大きさは増していく。
今にも掴みかかりそうになっている轟を
緑谷が慌てて手で制した。
そこにいつものクールな轟の姿などない。
緑谷の脳内はもはや
自分の理不尽など超えて
如何にして級友の気を静めるか
(楠梨さんが居てくれたらな…。)
ここに居る筈のない
適任者を思い浮かべては
出来る事と言えば汗を垂らす事くらいしかない。
犬面の署長が
冷たく突き付けてくるからだ
轟の怒りを煽るかの如く淡々と
もっともな正論を。
「結果オーライであれば規則など
ウヤムヤで良いと?」
牙をむいた少年は
突き付けられた正論に一瞬だけ言葉を詰まらせた。
正論だ
そんな事はわかりきっている。
それでもやはり解せない
自分たちの根底にある感情は
それとは真逆にあるのだ。
「――…人をっ…
救けるのがヒーローの仕事だろ」
吠える少年に大人は息をつく
やれやれ
まだまだ青いと
それが更に轟の理不尽を煽る
これではいつまで経っても終わりゃしない。
ここに生まれた寒暖差
延々と収まりようのない会話のループに
見かねた老爺が手を挙げた。