第45章 【深緑色】オープン・クエスチョン
一夜明け――…
職場体験4日目
場所は保須総合病院の4床室。
ハイリが案じた3人は
この日をここで迎える事となった。
昨晩
ヒーロー殺しステインと
遭遇するだけに留まらず交戦。
結果、なんとか勝利を収めるも
その姿、まさに満身創痍。
赤に染まったヒーローコスチュームも
病院に着く頃には朱殷へと色を落としていた。
「冷静に考えると…
凄いことしちゃったね。」
「そうだな。」
緑谷のうわ言のような呟きに轟が頷く。
足に、腕に
幾つもこしらえた傷を白い布で被う姿は
見るからに痛々しい。
自分は然程ない
各々がいくらそう思えども
包帯に塗れた級友の姿を見れば
思うものはまた
変わってくるというものだ。
特にこの男――
飯田の思いと言ったらないだろう。
なんせこの度の戦闘
全てはこの男の仇討から始まったのだから…。
飯田は眼鏡の奥の瞳を伏せる。
その口を開きかけた時だった。
「おおォ
起きてるな怪我人共!」
3人の客が部屋を訪れた。
緑谷の保護監督者
プロヒーロー グラントリノと
飯田の保護監督者
プロヒーロー マニュアル
そしてもう一人
この流れで行けば轟の保護監督者…
なのだろうが
プロヒーローエンデヴァーは今、それどころではない。
何故か…?
それを語る為に
この男が来たと言って良いだろう。
「すごい…グチグチ言いたい…が
その前に来客だぜ。」
苦い顔で語るグラントリノの向こうから
ヌゥっと現れた巨体
黒スーツにダルメシアン柄のネクタイ
垂れた黒耳に突き出た鼻
「保須警察署署長の面構犬嗣さんだ。」
やはりこの風貌では
変わる表情は驚嘆の色しかないのか
グラントリノの紹介に
少年たちは表情を変える。
目を丸くする緑谷
訝しむ轟
戸惑いを浮かべながら会釈をする飯田
各々の胸中はいま如何ほどか
青い感情が入り乱れる中
本日のクエスチョンが始まろうとしていた。